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21の古典的名著からリーダーのための教養を学ぶ! | 日本アスペン研究所「ヤング・エグゼクティブ・セミナー」

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先日、会社の社外研修で日本アスペン研究所の「ヤング・エグゼクティブ・セミナー」というワークショップに参加してきました。このセミナーは、主に現在のマネージャー層を対象に、将来の指導者に必要な教養を身につけることを目的としたリーダーシップ・プログラムなんですが、一般的な講義形式のセミナーではなく、「これからの日本社会を担う若い世代に対し、早期から古典を通しての“対話の場”を提供」するというユニークなもので、一般参加も可能なうえ(ちょいとお高いですが・・・)、なかなか面白いセミナーだったので詳細をレポートしてみたいと思います。

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日本アスペン研究所ってなに?

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当研究所は1998年4月の設立以来、各界のリーダーおよびこれからのリーダーたる責任を負うことを期待されている方々を対象として、「古典」を素材に、「対話」を通じて人間性への洞察、大局観、専門性を超える知性、判断力、決断力といったリーダーに不可欠な資質に磨きをかけることを目的とした様々なアスペン・セミナーを開催しています。

日本アスペン研究所サイト』より

米国アスペン研究所(1950年設立)の影響を受けて設立された日本アスペン研究所ですが、日米以外にもドイツ、イタリア、フランス、インド、ルーマニア、スペイン、チェコ、メキシコに組織があり、国際的なネットワークを形成しています。ただ、公式サイトによると各国のアスペン研究所は、それぞれ独自のポリシーで運営されているようです。

さらに調べてみると、結構な有名企業が日本アスペン研究所の会員になっていることが分かります。

日本アスペン研究所 正会員

アサヒグループホールディングス アフラック エーザイ
MSD キッコーマン 医療法人 健育会
資生堂 新東工業 新日本有限責任監査法人
セコム ダイキン工業 東京海上日動火災保険
東京ガス 東芝 日本たばこ
野村総合研究所 パナソニック ヘルスケア 富士ゼロックス
ベルリッツ・ジャパン 三井住友銀行 三井物産
三越伊勢丹ホールディングス 三菱地所 三菱商事

日本アスペン研究所 賛助会員

アイ・アール ジャパン アクセンチュア SMBCコンサルティング
公益財団法人 大原美術館 オリックス 亀田製菓
NPO法人 ケア・センターやわらぎ ゴージョージャパン 日本みらいキャピタル
ヒゲタ醤油    

 

ヤング・エグゼクティブ・セミナーとは

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このセミナーは経営学やマーケティング論など、すぐに使えて実務に直結するような専門知識ではなく、大局観、判断力、洞察力など、リーダーに必要な資質を身につけるための手段として、リベラルアーツを学ぶものです

ヤングエグ・ゼクティブと聞くと昔流行ったヤンエグという言葉を思い出してしまいますが(ぼくだけ?)、実際に参加してみるとその俗っぽいネーミングとは裏腹に、古今東西の古典を題材として、著者は「どのような背景で」「何を主張しようとしているのか」「なぜか」「自分はどう考えるのか」を自分の頭で考え、発信し、参加者と対話を重ねながら新しい考えをつくり出していく、骨太な内容となっています。

参加者について

公式サイトでは、セミナー対象者と参加者についてこう書かれています。

  • 企業の30代~40代のマネージャー層、官公庁、NPO・NGO関係者、学者・研究者など、現在またはこれから指導者としての責任を負う方々
  • モデレーター2名、リソース・パーソン2~3名を含め、20名強

ぼくが参加した回は参加者15名、モデレーター2名、リソースパーソン1名という構成で、参加者は40歳前後~40代半ばの企業のマネージャークラスの方が中心でした。女性は1名だけでしたが、事務局の方に聞くと毎回、平均的に3名前後は参加されているようです。

ちなみにモデレーターというのは、参加者が対話を円滑に進められるよう進行をサポートする役割の人で、2人とも大企業の元役員の方(既に現役は引退されています)でした。古典に対する知見も深く、偉い方とは思えないほど謙虚な姿勢で参加されていて印象はとても良かったです。

リソース・パーソンは某有名大学の名誉教授(哲学の専門家)で、文献についての専門的な知識・知見を提供してくれます。

プログラムの内容

プログラムに申込むと、セミナーの1ヶ月半くらい前にテキストが手元に届くので、本番で自分の考えを発言できるよう、事前にテキストをしっかり読み込みます。古今東西の名著といわれる哲学書や文学作品などから重要な部分を抜粋、編成されたテキストで、合計200ページぐらいあるんですが、かなり難しい文献も若干含まれているので、日々の仕事をやりながら事前準備するのは結構ハードでした。

テキストの中身。考えなどを書き込めるよう余白が多め。

テキストの中身。考えなどを書き込めるよう余白が多め。

セミナー本番では、会場に口の字型にデスクが配置されていて、モデレータ2人が一番奥の席に並んで座る以外は基本、各自好きな席に座ります。(セッションごとに席を移動)

2泊3日のプログラムは、「世界・日本」、「認識」、「ヒューマニティ」、「社会・デモクラシー」の4つのセッションから構成されていて、各セッションとも5つの文献(社会・デモクラシーは6つ)を題材に対話を行うことになります。各題材にはそれぞれ40分程度の対話時間が設けられており、冒頭でモデレータからその文献に関する基本的な説明を行って、その後、対話へと移行していきます。

基本的なルールは以下のとおり。

  • 発言したい人はネームプレートを立てて、モデレータより指名されたら発言を行う
  • 複数の発言希望者がいる場合は、ネームプレートを立てた順番でモデレータが指名
  • 1回の発言は3分以内で行う
  • 発言は「この作品については、こう思う」といった作品全体に対する漠然とした意見ではなく、テキストの「何ページの何行目に関して」と具体的に箇所を指定して行う
  • 他者の論点に対して発言をする場合は挙手して、モデレータから指名されてから介入する

難しいように感じるかも知れませんが、2~3の題材を消化するとコツがつかめ、慣れてくるので問題なく自然と対話が進められるようになります。

今回のセミナーは葉山の高台にあるIPC生産性国際交流センターというところで行われましたが、展望デッキから富士山と相模湾が見渡せる自然豊かな環境の中にあり、3日間俗世間から離れてどっぷり古典に浸りこむというのは、ある意味とても贅沢な時間ではないでしょうか。

研修施設展望デッキからの景色

研修施設展望デッキからの景色

今回のセミナーで特に面白かったのは、参加者同士で対話を重ねていくうちに、一人では考えもつかなかった物の見方や考え方に辿り着くことが何度もあったところで、みんな普段使わない右脳をフル回転させて対話しまくっていました(笑)

ちなみに3日間のプログラム構成はこうなっています↓

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セミナーは、金土日の3日間で行われます。土日が完全に潰れるので、週明け月曜日の仕事はかなりキツイ。。。

各セッションの題材となっている作品はコチラ↓

セッションⅠ「世界・日本」

「現代日本の開化」夏目漱石 漱石文明論集 (岩波文庫)
普請中」森鴎外 森鴎外全集〈2〉普請中 青年 (ちくま文庫)
余は如何にして基督信徒となりし乎」内村鑑三 余は如何にして基督信徒となりし乎 (岩波文庫 青 119-2)
 「大衆の反逆」オルテガ・イ・ガセット 大衆の反逆 (中公クラシックス) 
 「孟子」孟子 孟子〈上〉 (岩波文庫)     

 

セッションⅡ「認識」

パイドロス」プラトン パイドロス (岩波文庫)
形而上学」アリストテレス 形而上学〈上〉 (岩波文庫) 

パンセ」パスカル

パンセ (中公文庫)
道徳形而上学の基礎づけ」カント 道徳形而上学の基礎づけ (光文社古典新訳文庫)
哲学の改造 」ジョン・デューウィ 哲学の改造 (岩波文庫 青 652-1)

 

セッションⅢ「ヒューマニティ」

源氏物語」紫式部 源氏物語 全6冊 (岩波文庫)
 「平家物語」作者不詳 平家物語 (岩波文庫  全4冊セット)  
 「ジュリアス・シーザー」シェイクスピア ジュリアス・シーザー (白水Uブックス (20))
 「東洋的な見方」鈴木大拙 新編 東洋的な見方 (岩波文庫)
 「道徳と宗教の二源泉」ベルクソン 道徳と宗教の二源泉 (岩波文庫)

 

セッションⅣ「社会・デモクラシー」

古い医術について」ヒポクラテス 古い医術について―他八篇 (岩波文庫 青 901-1)      
ウォールデン―森で生きる」ヘンリー・D・ソロー ウォールデン―森で生きる (ちくま学芸文庫)
女性の解放」J・S・ミル 女性の解放 (岩波文庫 白 116-7)
暗黒日記」清沢冽 暗黒日記―1942‐1945 (岩波文庫)
エコエティカ」今道友信 エコエティカ (講談社学術文庫)
「ゲティスバーグ演説」エイブラハム・リンカーン リンカーン演説集 (岩波文庫 白 12-1)

 

セミナーに参加して感じたこと

最初は正直、古典で対話を進めていくという感覚がイマイチ分かりませんでしたが、セッションが始まってしばらくすると、どんどん議論が活発になっていき、最後は白熱しすぎて時間が足りないという現象が起きました。この3日間だけで深い教養が身につくほど甘くはありませんが、西洋・東洋の多くの古典を題材に、深いところまで思考を落とし込み、自分の考えを述べ、他社と意見をぶつけ合うことで、「既知の事実にとらわれず」「自分の頭で考え」「人との対話を通して新しい考えを創り出す」という、次代のリーダーに求められる普遍的な素養を育てることができると思います。

特に、一方的に教えられるのではなく、実際に対話を通じてそれを体感できるというのがポイントです。

まとめ

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ぼく自身、将来リーダーになれる器でもなければ、教養も全くない人間なんですが、近ごろはたまに古典や哲学の本も読んでいて、少しずつでも教養を身につけていきたいなと思っています。今回参加したセミナーはリーダーとしての教養という視点でしたが、心豊かにより良く生きていくためには、どんな人にとっても教養を身につけることが、有効な手段の一つになるんじゃないかと思います。

哲学関連ではこんな記事も書いています↓ 

日本生命を退社された後、60歳の時にライフネット生命を起業された出口治明さんは、著書の中でこんなことを言っています。

  • 教育だけでは、それなりの人生しか送ることができません。より良い人生、より良い仕事、より良い生活を送るためには教養が必要です。
  • 教養に触れ、インプットが多くなればなるほど、アウトプットの幅が広がり、発想が豊かになります。
  • ココ・シャネルは、功成り名を遂げて、こんなことを言っています。「私のように、年老いた、教育を受けていない、孤児院で育った無学な女でも、まだ1日にひとつぐらいの花の名前を新しく覚えることはできる」ひとつの花の名前がわかれば、世界の謎がひとつ消えていきます。すると、この世界が、その分だけ単純に、分かりやすくなっていく。「だから人生は素晴らしいし、生きることは楽しい」

本の「使い方」1万冊を血肉にした方法

世の中が変化するスピードはとても速く、すぐに役にたつことは、すぐに役に立たなくなってしまいます。古典や哲学書を読んだり、歴史を勉強して教養を身につけてもすぐに役に立つことはありませんが、長い目で見ると、そういうものこそが本当に役に立つものと言えるんじゃないでしょうか。

人生死ぬまで勉強、世の中の動きに左右されず、自分の頭で物事を深く考えることができるようになりたいものです(^^)

 

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